ミュージックウェブマガジンばんび
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特別編. Keicot interview
6回にわたり「BEAUTIFUL HUNTER」を連載してくれたNO STARS INOVATIONのKeicotさん。フォトグラファー田口るり子さんとのコラボレーションで、独特な世界を見せてくれました。
連載を振り返って思うこと、彼女の考える表現について、NO STARS INOVATIONのこと、そして“思い”について――「BEAUTIFUL HUNTER」特別編は、Keicotスペシャルインタビューをお届けします。
 
―先ずは、お疲れさまでした。

ね! 苦しかったー(笑)。でも、すごく楽しかったです。今は「あー、終わったー!」って感じですかね。NO STARSで詞は書いているわけですけど、こういう形で文章を書くのは初めてだったので、いい経験になりました。こういうチャンスに恵まれて嬉しいです。これからは締め切りのない状態で書いていこうと思います(笑)。
基本的に、小さいころから絵を描いたり、作文書くのは好きだったんですよ。人見知りが激しくて、ひとり遊びが得意な子どもだったんです(笑)。
ただ、学校を離れてからはきっかけもなくて。でもね、そういう強制されて書くようなところを離れないと、自分らしさを表現できないんじゃないかなって思いますよね。

―それって、たとえば「こう書けば教師は喜ぶかな」みたいな打算がなくなるって意味でしょうか?

いえいえ。割とね、テーマとか与えられると、すっごい純粋に書いちゃうんですよ(笑)。どんなテーマに対しても真剣に考えすぎるくらい考えちゃって。器用じゃないんですよね。計算なんてできないですよー(笑)。
確信犯的な人っているじゃないですか。頭がいいというか。自分の言いたいことを、どう伝えるかをきちんと計算して出せる人。そういう人って羨ましいなあって思うんです。
だから、ちゃんと明確に意図することが伝えられる人が羨ましいんだけど、そういうのができないんですよ。どうしようもなく不器用っていうか。でもね、そういう部分って、あたしの弱点でもあるんだけど、同時にいいところでもあるかもしれないって思えるようになりました。なんか、すれてるんだけど、すれてないっていうか(笑)。

あたしももう30歳だし、何も知らない世間知らずでは始まれないし、終われないっていうのはあるんですよ。でも、だからこそ今伝えられることがあるって信じているし、あたしはあたしなんだ、と自然に思えるようになったんだと思うんです。巧く言えないんですけど。
やっぱり、ずっと自分の人生と向き合ってきて、傷つくことも沢山ありますよね。傷ついて強くなるじゃないですか。でもそれと同時に自分の弱さも知るわけですよね。で、その弱さが他人に対する優しさになっていったり。そういう流れみたいなものかなーと思うんです。そして少しずつ自分の中の大切な部分がはっきりと見えてくるような。

―一見相反しているような気もするんだけど、でも自分の最も内側のそういった柔らかい部分を見ると、それらが共存することが当たり前に感じるってことでしょうか。

そうそう、そんな感じです(笑)。あたしの中にある、純粋な部分というか。
だから、自分が書いたものだから、当然自分というものがすっごく出ていると思うんですよ。
6回やって、自分の中でも少し変わったなって思うんです。だから、短いようで、長い3か月でした。すごく充実してたって意味ですよ(笑)。
最初のころに書いたものを今読み返してみると、ちょっと笑っちゃうんです。「あら、大変」みたいな感じ(笑)。もちろん、そのときはそれが精一杯なんですけど。
なんていうのかな、まだ殻がある気がするんですよ。その殻をね、少しずつ脱ぎ捨てていけたって感じがするんです。先に行くにしたがって、本当に自分の気持ちに正直に書いてます。自分の内側にあるものをそのまま出していくことが表現なんだなって再確認したというか。だから、あの中にあるものは、本当に素顔のあたしですよね。

音楽も一緒だと思うんですよ。最初は「ああいうのがやりたい」「こういうのがやりたい」って色々思うんですけど、結局は自分をそのまま出すのがいちばんいいなって。伝えやすいというか。
あたしは歌うたいなんですから、文章で自分をすべて表現できなくてもいいんじゃないか、あたしらしさっていうものさえ伝わればいいんじゃないっかって、思えるようになるまでは迷ったし、苦しかったんですけど。
だからね、だからって言うのも変なんですけど(笑)、また楽しみをひとつ見つけちゃったみたいな。この先の詞にもね、そういう変化が出てくると思います。もっと率直な表現……同時に、もっと多面性の見える表現。そういうふうになりそうです。自分でも凄く楽しみなんですよ。
あたしはバンドを始めたのが遅くて、24歳のときなんです。そこから表現っていうものをずっと考えているんですけど、うん、まだまだ成長しつづけてる感じですよね。

―Keicotさんの書くものって、凄く普遍的ですよね。

ね? 自分でもそう思います。でも凄く個人的だったりもするんです。その普遍的で個人的なものを、如何にあたしらしく出すかがテーマかな。 
みんなね、どんなに強がっている人も、どんなに甘えん坊でも、人生を諦めない限り多かれ少なかれ持っている感情だと思うんですよ。はっと思うこと、恋すること、そして何より愛すること……そこに付随してくる色々なものとか感情とかも含めて。
だからね、女性には「ああ、これは自分にもある」って思ってもらえたら思いを共有できると思うし、一部の男の人にはね、はっとしてほしい。大切なものを失う前にね。そして男女を問わず、やっぱり「愛がいい」って思ってもらえたら嬉しい。

あたし今、自分のことがちょっと好きなんですよ!(笑)
自分の弱さとか、そういうものも含めて愛おしいって思えるんです。人のことを大切に思う気持ちとか。
それでね、10年前もあたしは自分のことがそれなりに好きだったけど、まだ迷いがあった。今はそこから覚悟した分、もっと自分が好きになった。だから10年後のあたしは、今よりももっとさりげなく自分を好きだなと思える心でいれたら素敵だなーと思っています。

―でも、そういうふうに思えるのって、やっぱりある程度精神的にも成熟してきたからですよね。子どもの頃って、未来の自分を思い描くことはしても、そういうふうには考えないような気がするんですが。

うん、そうですよね。だから……こういうふうにきちんと考えられるようになったのは、あたしの中に、NO STARSという存在ができてからですね。

―NO STARS INOVATIONに参加する前って何をしてらしたんですか?

そのころも人生を苦しんでましたよー(笑)。今も苦しんでますけど(笑)。自分と真剣に向き合ってるって意味なんですけど。
えーとね、事務所みたいなところに所属していて、いろんなことやってたんです。それで、陣内孝則さん主演の「バディー・ホリー・ストーリー」っていうミュージカルに出て、アメリカ国歌歌ってたんですよ。それに池畑さんも出てたんです。
普通、バンドってもっと若い時期に始めてたりするじゃないですか。でも、あたしの周りにはずっとそういう人がいなくて。歌をうたいたいなとか、バンドやりたいなって思ってはいたんですけど、きっかけになるものもないし、方法も判らなくて。
そうしたら、ちょうど同じころに、ギターをやっている男の子と友だちになって。それでバンドやろうって盛り上がってたんですよ。NO STARSの最初のギターのよしたけなんですけど。
結構長い公演だったんで、一緒にいる時間も長かったので、池畑さんに「これが終わったらバンドやるんです」って話をしたんです。そうしたら、「いいね」って言ってくれて、一緒にやることになって。
そのミュージカルって、殆どライヴみたいな感じなんですよ。あたし以外はみんな錚々たるミュージシャンだったんです。でも、実を言うと、池畑さんがどういう(経歴の)人か、とかよく知らなかったんですよね。ただ、毎日プレイを見ていて、本当に凄い人だなと思っていて。パワーって言うのかな、そこに表れる感情とか、エネルギーとか、そういうものに圧倒されて。

あたしは、テクニックも大切だけど、そこで表現される、その人の深い部分っていうのはもっと大事だと思ってるんです。そういう人たちと出会えて、一緒にバンドやっていけるって、本当に幸せだなーって思ってるんですよ。メンバーには凄く感謝してますね。
あたしを、なのか、NO STARSを、なのかは聞いたことないんですけど、諦めないでいてくれてる。「やろうよ」って言えば、スケジュールを都合してきてくれる。見に来てくれている方たちもそうなんですよね。本当に有り難いなって思うと同時に、その信頼を裏切っちゃいけないなって思えるんですよ。
だから今年はレコーディングをしようと思ってて。もう何年もお待たせしてるんで(笑)。
でも、「ああ、この時期だったのね」って思うんですよね。自分の波動みたいなものが、そういうふうに感じているんですよ。流れがね、このタイミングを待っていたんだなって。
アルバム作ったらツアーもやりますよー。

―ところで、好きなミュージシャンとか、影響を受けたヴォーカリストって誰でしょう?

パティ・スミスとかジャニス(・ジョプリン)とかブロンディのデボラ・ハリーとか。あとね、アーニー・ディフランコっていう人がいるんですけど、たまたまCD屋で聴いて、「いい!」って思ってはまってたんですよ。そうしたらね、池畑さんがご存じで「あれを格好いいと思えるんだ」って、色々教えてくれて。あたしは彼女の声が好きだったけど、どういう人かは全然知らなかったんで。
身体中から、そして声からエネルギーが溢れているようなヴォーカリストが好きなんですよ。女性にしかない母性的な途轍もない強い愛情を感じるんです。巧いとか、そういうこと以上に、そんな生命力の中にも孤独と愛情を同時に感じる人が時代、性別、ジャンルを問わず好きなんです。そしてそこにユーモアがあれば最高ですよね。

―表現する内容以外の部分でのKeicotさんのテーマってなんですか?

あたしは、ずっと「思いは技術に勝てる」って思ってきたんですよ。でも、歌いつづけていくと、やっぱり技術は必要って思います(笑)。思ってることを思っている分だけ伝えるために技術が欲しいって。
ただ、伝えたいことがなくなって、技術だけが残ったら、あたしは意味がないと思うし、そのときはやめると思います。思いがなくなるとは思えないんですけど(笑)。

音楽を通じて出合ったものとか、気づいたこととか、あたしにとっては宝物ばかりなんですよ。それはいいことばかりではなくて、厭なことも、苦しいことも、辛いこともあるんですけど、それでもそれも含めて、全部が宝物。今のあたしを作って、支えているものですから。
 

「そういえばね」と大切な宝物を見せるときのようなきらきらした目で教えてくれたのは、
田口るり子さんの撮ったKeicotさんの写真が二科展で入賞したというニュース。
これもまた彼女の違った表情を見せてくれる一枚です。 是非会場に足を運んでみてください。

[ NO STARS INNOVATION HP ] http://members.jcom.home.ne.jp/no-stars/
koicot Profile
-- Keicot --
1973.10.31
B型
東京都生まれ
SCORPION
"No Stars Innovation" 
Vocal.
 1. カエル女の秘密
 2. ヘビ女の憂鬱
 3. カメ女の瘡蓋
 4. カラス女の奇跡
 5. トラネコ女の招待
 6. ゾウ女の約束
 7. Keicot インタビュー
LIVE INFORMATION
9/17(金) 下北沢Club251
No Stars Innovation
Vo. Keicot
G. Katsu Takagi
Key. Mikio Ito
B. Seela
Ds. Jz-Ikehata
・No Stars Innovations・
CD: "WANANA"
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