――全てに意味があるように、時は流れ闇に彷徨う――
秋の匂いがした。赤のような、紅のような。何度も愛したあの子の匂い。この世に生を受けた日の、青緑の光の向こう。
道端に雑草が生えていた。超合金ロボは小さな俺に陰りなく夢を与えてくれた。秋の空はずっと遠くにいて、それは透明のかたまりなんだと信じた。最近あの時と同じ空を見てね、涙が止まらなかった。
俺はけっして育ちが良かったわけでも悪かったわけでもないよ。大学を出たわけでもないし、やんちゃし過ぎてバカになっちまったわけでもない。でもね、今までいろんな人たちと出逢ってきた俺は、ほとんどの人を傷つけた。今もきっと誰かを傷つけてんのかも。
俺のしてきたことが正しいとはけっして言えないけど、馴れあいのように暮らすのが嫌だった。優しさを口にしなきゃ俺を見れないなら、おまえとは何も分かり合えないよ。目を閉じてキスもできないおまえは、俺の何を見てる?
ずっと分かり合いたくて、真実に本当を重ねた。おまえが必要だけど、真実は時として人を傷つけるから……。
いちばん大事なことがあって、何より大切なものを抱き締める。育ちが良かったわけでも悪かったわけでもないけど、俺の愛する母親はそれを教えてくれた。こんな世の中だけど、澄みきった心は持ち続けてるよ。廃屋の庭に花を咲かせて、雨が降るのを待ち続ける。こんな世の中だけど、かけがえのないもの見つけたよ。
真っ黒な優しい雨は時として俺をぐちゃぐちゃにする。それでもいいんだと思った。それでも確かな道だと信じた。胸を張って歩いて行こうと思った。何より恐れていたのは、足を止めること。形や理屈にこだわるのはやめにしよう。想像で創造していく人生…空間が色や匂いを創っていく力なら、俺はその源。おまえの寝顔を愛したわけじゃないけど、ずっとそばにいてほしい。存在が俺を究極の癒しへと誘う力なら、おまえは源。ずっと言えなかったけど、おまえを愛せてよかった。
できれば特急じゃなくて各駅停車がいいな。タンポポの目線で空を見上げよう。百万ドルの夜景よりこの部屋からの眺めのほうが好きだし、そんな自分はなんか成長した気がする。ガキの頃よく家の柱に背丈を刻んだっけ……。
都会の空は灰色で、街中の地面は他人行儀なアスファルト。「いくつ数えたら願いは叶うの?」おまえの口癖だった。おまえにしてやれること…そんなことばかり考えてる俺はまだガキなのかもしれないな。あまりにもおまえに棘がないから、俺はどんどん悪い人間になってしまう。黒猫が耳元で鳴いてるんだ「もういいよ」って。
ずっと刺激を求めて生きていたいな。
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