|
ずっとずっと遠くを見ていた。あの風に乗って羽ばたきたい、あの雲のない空へ。ここは眺めがいいからね……消えかかるものと見え隠れするものが同時に彷徨うスクリーンだ。もしあそこに辿り着けたら息をせずに生きられる気がして、今の俺は半透明だけど、ずっとずっと遠くを見ていた。
正直言うとまだ何も解決していないんだ。あの日のことも昨日のことも、明日のことも。いつかおまえが言ってた、「いくつ数えたら願いは叶うの?」って。俺は何も答えなかった気がする。たしか霞草の匂いだけが二人を救ってくれたような。棘のないおまえと咎のない俺、誰が見ても醜くて不釣り合いな二人。毛虱の赤いセーターと袖のないソーダ水のシャツは、死んでもわかり合えぬ虚しさから逃げるように抱き合った。明日がどうなってもいい、たとえ世界が滅亡しても。それが愛なんだと信じた。
もっと地に足をつけて歩むべきだと、ある公園に住むある老人は呟く。もっと雲の上を歩くような人生をと、ある豪邸に住むある老人は頷く。価値観の同じ人間を探す毎日にはもう疲れたよ。いつまで経ってもこの街はまるで水墨画のような温度を失わない。鼻先をかすめる潮騒のかほり……今日も歌うことしかできない俺は、音楽が唯一自分を救ってくれるものだと勘違いしてる。おまえとだけは別れるために出逢ったわけじゃないからさ、気持ちが許す限り一緒を過ごしたいんだ。そう、同じ瞬間を体感することが大事なんだと思う、場を共有するとかじゃなくてね。必要とされてるかばかり気にしていたら何も始まらない。必要とすることからすべては始まるんだと、近くに住むある老人が教えてくれた。感謝はしてないよ、音楽に出逢えてよかった、ありがとう。
争いや不幸が人を駄目にしてしまう世の中なのかもしれない、自分を主張するために造られてゆくのが文化なのかもしれない。それが時代を築いてゆく力なら、そんな歴史に名を刻むことなど得でも何でもないことに人はいつの日か気付くのかな……?
サウンド オブ サイレンスはいつも俺の中に鳴り響いてる。
音のない部屋のドア、それを開ける時が来たのかもしれない。
|
「サウンド オブ サイレンス」 |
 |
|
ねぇ僕らこのままで
いいのかな…
澄んでいたあの空も
すべてが濁りはじめ
時は流れ
このまま何も感じない
人間になんてなりたくなくて
とりあえず今日もまた
キスでごまかした
もうすぐこの街も
匂いや景色が変わってゆく
このままで音も立てず
|
毎日がすべてが
自分のためにあるわけじゃないけど
なんとなく
春が来れば 夏が来れば
大事なものに気付ける気がしてた
秋が来れば 冬が来る前に
忘れかけていた何かを
また取り戻せると信じて生きてみた
それでもただ
このまま何も感じない
人間になんてなりたくなくて
音も立てずに
それでも時は流れ…
このまま何も感じない
人間になんてなりたくなくて。
作詞・曲 晏奈 / 編曲 SPYC
|
|
音楽を愛する君へ...。サウンド
オブ サイレンス!
|
|