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vol.2漂流街/三池崇史

オープニングから飛ばしてます。不法滞在で強制送還される為に成田へ輸送中の中国人美女・ケイ(ミッシェル・リー)を取り戻す為、ヘリを乗っ取りマシンガンぶっぱなす日系ブラジル人・マーリオ(TEAH)。 このシーン、まじめに見るとまずいです。埼玉の入管から千葉(成田)に輸送されているはずなのに、一体ここはどこだ?道ばたには「国道17号」の標識。でもこの景色。あれ?ここはもしかして……。

この映画、原作を全く無視しています。原作読んで、ましてや『不夜城』も観て、この作品を観た人は愕然とさせられるに違いありません。しょうがないです、三池崇史が監督だからです。
この監督、とにかく撮る、撮る、撮る。年間5、6本は撮ってます。それも全国公開されるものから、予算数百万円、撮影期間1週間という過酷なOV(オリジナルビデオ)まで様々。1つの作品を撮っている間に、次の作品の打ち合わせなんて当たり前。常に撮影中といった「日本でいちばん忙しい監督」。

海外での注目をよそに、日本では玄人、マニアに深く愛されているロックな男。 『新宿黒社会』『不動』『喧嘩の花道』……知ってますか?『アンドロメディア』『サラリーマン金太郎』『着信アリ』なら知ってますね。これらの作品を撮った監督です。

ストーリーは、マーリオはケイと2人で日本を脱出しようとするが、ケイの元恋人の中国人マフィア・コウ(ミッチー)がケイを取り戻そうとして、一騒動。この騒動で2人のパスポートはダメになってしまう。 何とか裏ルートで出国する為、金を用意しなくてはならなくなった2人は、仲間と一緒にヤクザの伏見(吉川晃司)とコウのコカインの取り引き現場を襲ってしまう。 お金だと思って奪ったのは、なんとコカイン。 彼らは伏見たちに追われる身となってしまう。果たして2人は逃げ切れるのか?

ま、ストーリーはどうでもいいんです。とにかくこの映画、おもしろいと思うか、糞映画と思うか、どっちかです。
色んなことが「え?」「は?」「なんで? どうして?」。 いいんです。映画は『なんで? そうなの? そんなのあり得ない!』ものなのです。 どの作品だってそうじゃないですか。2時間の間で、すべてを語らなくちゃいけないんです。泣かせる映画は泣かせなくちゃいけないんです、期待通りに。そんなに不幸な事、立続けにおきないだろ! ってくらい起きます。

今はCGって物があるから、何だってできちゃうんです。バズカー砲1発で、ビルぶっ壊したらおもしろいだろうな〜って思ったら、できちゃうし、やったらかっこいいじゃないですか。鳥がマトリックスになったっていいじゃないですか。それもおもしろいじゃないですか。 原作者が怒ったという話もあったり。そりゃそうでしょう。私も読みましたが、原作がどういう話だったかも忘れてます。でも馳星周さん、しっかりご出演されてます。

監督の熱いラブコールで13年振りのスクリーンとなった外道ヤクザ役の吉川晃司。いかれた中国人マフィア役の及川光博。この2人も切れ過ぎです。ミッチー、何故か洞窟に住んでます。そして元恋人ケイのフィギアを亀甲縛りして、眺めてます。極め付けは「卓球しませんか?」。これ、CMでよく流れてました。吉川晃司とミッチーの卓球シーン、頭で想像すると笑っちゃいますが、観るとかっこいいんです。卓球という何故かちょっと微笑ましいスポーツに、隙を見せてしまった所に、ズバっと斬り付けられます。実はものすごい計算の上で、卓球を取り入れたのではと思わずにはいられません。

主役マーリオ役のTEAH。この作品がデビュー作。なかなかハマる主役が見つからず、オーディションを繰り返していた監督が渋谷でバッタリ見つけたそうです。全くの素人を主役として使う掟破り。それにあのミッシェル・リーを亀甲縛りにもしちゃいます。 「ストーリー無視」だとか「ムチャクチャバイオレンス」「意味不明」など、何かとんでもない映画のように言ってますが、ラストシーンがすべてです。三池ワールド『男の美学』です。このマーリオと伏見の一騎討ちを観て、一瞬「いやそれは、」と言いかけたものの、男のロマンを熱く感じずにはいられなかった。
これは女にはわからないものなんだと。

この映画、楽しめるあなたは、人生の楽しみ方を知っています。
この監督の作品、他はもっともっと切れてます。地球を破壊しちゃったり、ほとんど主人公が喋らなかったり。とてもエグ過ぎてここでは書けないような切れっぷりで、具合悪くなってしまう人もいるくらいなので、三池ワールドに足を踏み入れるなら、まずはこの『漂流街』だったら、見やすいのでは?

- Writing -
レディ(lady)
197×年3月東京生まれ。 お嬢様学校に通っていた中1の時に、澁澤龍彦とロックに出会い友だちを失う。
その後業界を渡り歩き、難癖だらけの大人たちを手懐けて来たにも関わらず、小さな 我が子には全く歯が立たない今日この頃。
1日に映画館を3館はしごした時代や、最近子供が寝てから狂ったように観まくって いるビデオの中から『ロック』な映画をピックアップ。
 
- Illustrator -
shuffle master★KAORIN
5月2日生まれ。
それ以外の数字のデータは極秘です。
反骨精神を持つパンクな絵描きですが、ポップでユーモアのあるものが好きです。
映画は基本的に古いSFやホラーが好きです。でも、楽しめれば何でもアリです。
どんな芸術・娯楽にも音楽的な要素とリズム感が重要と思ってます。
そんな感じで音楽性を感じるお絵描きしていきたいですね。
尊敬してるのはディック・ブルーナとエドワード・ゴーリーです。

http://plasticrecords.kill.jp/
 
vol.1
Lock,Stock & Two Smoking Barrels!!

vol.2 漂流街/三池崇史
   
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