| ―結成の経緯から伺いたいんですが。2年前の夏ですよね。 |
| VISCO: |
元々はセッション。ロンドンブーツナイトっていうイベントがラママであって。
ちょうど俺がPSYCHO CANDIEの活動を休止しているときだったんで。で、俺が振ったんだよね。 |
| hirono: |
そうだね、なんかやろうと。 |
| VISCO: |
それでhironoがギター弾くって言うんで、PSYCHO CANDIEのドラムとで、ベース誰にしようってときに、共通の友人を介してHIROKIを紹介してもらって。元々HIROKIはJulianのベースを弾いてたこともあったんだけど、俺は全然それ知らなくて。 |
| HIROKI: |
スタジオ行ったらhironoくんがいて。で、「お久しぶり」って。 |
| VISCO: |
で、直はその半年くらいあとに。 |
| 直: |
うん、一昨年の暮れ。 |
| VISCO: |
で、最初はPSYCHO CANDIEとJulianでPSYCHO+Julianって名乗ってたんだけど、そのとき直はThe
Rusy Swankysでドラム叩いてたんで。 |
| 直: |
Rusyが10月くらいに解散して、そのあと1月くらいは何もしてなくて、どうしようかなと思ってたら連絡があって。元々このバンドに興味はあったから。対バンでツアー回ったりもしてたし。自分が叩いたらどうなるかなっていうイメージはあって。ただ、早いから、とにかく。テンポがね。基本的にパンクとか通ってこなかったんで、それに対応できるかなって不安だったけど、やってみたかったんですよね。 |
| VISCO: |
俺はPSYCHO CANDIEをやってて、それが活動休止になって。ギタリストが辞めたときにもhironoに弾いてほしいなとちらっと思ったんですけど、そのときは実現に至らなかったんですよ。年齢も一緒だし20歳くらいからお互い知ってるし、何かいずれ面白いことやれたらいいなと思ってて。それで改めて声かけたら「やりたい」って。最初は俺もギター弾いてツインギター、ツインヴォーカルでって思ってたんだけど、hironoが「俺はギタリストに徹するから、おまえは立ちヴォーカルをやれ」と。 |
| hirono: |
僕がパチンコやってた時期と、VISCOがPSYCHOを休んだ時期と、HIROKIくんが何もやってなかった時期というのがちょうど重なって。これでバンド辞めちゃっててもおかしくないような時期だったと思うんだけど、やっぱりバンドしかないよね、俺たちにはって思ってた奴らが集まった感じ。 |
| ―でもね、その最初のセッションのときって、Julianの曲とかPSYCHO
CANDIEの曲とかやってたわけですよね。全然パンクじゃないじゃないですか。 |
| HIROKI: |
まあ、それは1回きりのことだったから。ただ、蓋を開けてみたらバンドとしての仕上がりがよくて。これはリハ重ねてオリジナルを上げて、ゆっくりとしたタームでもいいから続けていってみようかと。 |
| ―それで廣嶋というバンドにして。で、どうしてそこから音楽性がこっちに来るんですか? |
| VISCO: |
それはやっているうちに、このバンドは横ノリではないなと。縦のポップなものをやっていくほうが近道だし、メンバーのパーソナルも立つだろうと。で、そう思って曲を書きはじめたら書けたんで。難解なものじゃなくて、直球で解りやすいものを自分たちなりに提供していこうと。だから別に話し合って決めたとかでもなくて。 |
| HIROKI: |
たまたまその数ヶ月のリハの間に、パンクというキーワードが出てきた感じで。かなり偶発的に。 |
| VISCO: |
みんな通ってきてるしね。 |
| ―皆さんのそれまでやってらした音楽のファンの方からすれば、「どうして?」っていうのはあったと思うんですけど。 |
| VISCO: |
うん、あったでしょうね。実際言われましたし。ただルーツ的なものとしてずっとあったものを、極端な形で表現しているのが廣嶋だと思ってるんで。だから、外から見るほどには、内側としては意外性はないというか。 |
| 直: |
俺が入ったときからある曲でも、すべての曲がテンポが上がってるから、身体が馴染んできて、もっと……スピードだけを追求しているわけじゃないんだけど、それが快感になってる部分はあるかも。昔の、Rusyやってた頃の俺では到底叩けない速さだし、叩き方も違うし。それはこのバンドに入って、初めてパンクというものを通ってる感じ。 |
| hirono: |
まあ、パンクをやろうと思ってやっているわけではなくて、結果的にパンクっぽくなってるだけなんで。 |
| HIROKI: |
だから、「廣嶋ってどんなバンド?」って聞かれたときに、パンクって答えちゃえば楽だからそう答えてるけど、実際はそれをやろうとしているわけではないというか。 |
| VISCO: |
本当にパンクをやろうとしている人から見たら「違うよ」って言われちゃう(笑)。 |
| HIROKI: |
あくまで俺らがやっているのはパンクテイストであって。 |
| hirono: |
要はロックンロールなんですよ。それを如何に解りやすく出していくかっていうだけで。 |
| ―もしかして、皆さん、廣嶋やるってことで革ジャン買いに行ったりしたんですか?(笑)
|
| VISCO: |
行きましたよ!(笑) それまでそういうファッションって自分の中になかったんですから。 |
| HIROKI: |
俺は元々そういうのが好きだから。錨つきの革ジャンとかね。 |
| ―直さんは、髑髏のTシャツなんて絶対持ってなかったですよね?(笑) |
| 直: |
持ってませんでしたね。そんなものどこに売ってるかも知りませんでしたもん。で、HIROKIに店教えてもらって買いに行って。それまでに持ってたのって……革のベストだけ(一同笑)。 |
| ―そういえば、hironoさんは最近革ジャン着てませんね。ピンク着てるのは反抗期だと仰有ってましたが、何に反抗してるんですか。 |
| hirono: |
自分に(笑)。いや、自分の殻を破りたかったんですよ、このバンドで。「麗香ちゃん麗香ちゃん」と呼ばれ、「可愛い可愛い」と言われ。それはそろそろ打破しないとさ、なんか行く行くは京本政樹みたいになっちゃう気がしてさあ(笑)。それは俺の中にはないの。ぶっちゃけたキャラでいたいからさ。俺、王子様じゃないからってことを解らせないと。 |
| ―いいじゃないですか、王子様(笑)。 |
| hirono: |
いや、20代の頃はそれを楽しんでたこともあったけど、30代になってまでそう言われるのは寒いから、自分が(笑)。 |
| VISCO: |
まあ、何にせよ、肩に力が入っちゃうのはよくないからね。実際入ってたわけだから。 |
| HIROKI: |
でも、そういうふうに形骸化されたものから抜け出すっていうのは大事だと思うんだよ。俺たちくらいになると。 |
| ―それにしても、廣嶋のファンの方って凄くパワフルですよね。 |
| HIROKI: |
それは俺たちがパワフルだからじゃないかな。 |
| VISCO: |
廣嶋って、バンドとしての機動力は凄くあるんだよ。例えばHIROKIが曲を持ってきたら、2時間後には楽曲として完成させる、アレンジメントの機動力みたいなものが。で、次のライヴでこれをやろうというスピード感がある。 |
| HIROKI: |
クオリティという観点なら、それは聴いてくれた人が判断してくれればいいと思ってるから。バンドとしてのパワーがあって、それが確実に進歩していけば、それを面白いと思ってくれるひとは増えていくんだろうなって。 |
| ―それって、身体能力がそのまま出ている感じでしょうか。 |
| VISCO: |
ああ、そうだね。頭で考えるより先に体が動く感じはある。頭で考えようと思ったら、いいもの出来ちゃうもん、俺たち(笑)。書き手としては、如何に聞いてる奴のハートにずどんと落とすかっていうことを考えてるんで、とにかく無駄な部分は省いていくし。手間はかけないわけじゃないんだけど。取り敢えずは何でも試していくんで。そうしたうえで、如何にスリムにしていくかっていう感じ。 |
| HIROKI: |
頭で考えて構築したものと、身体的に作ったものとどっちを選ぶかといったら、確実に後者だっていうこと。それがバンドのテイストになってるかな。 |
| ―それは緻密なことが得意すぎるから、敢えて外すという感じですか? |
| VISCO: |
いや、得意すぎるっていうことはないよ。 |
| hirono: |
色々やってきて、やっぱりシンプルなのがいいなって。 |
| VISCO: |
あとは、やっぱり廣嶋らしさってどういうものなのかなって、考えるから。 |
| HIROKI: |
その"らしさ"っていうのは、言葉にはできないんだけど、俺たち4人ともが感じてることで、それを形にしていきたいって思ってるんですよ。 |
| ―うーん、そこのところを言葉で説明してくださいって言おうと思ったのに、予防線を引かれちゃいましたね(笑)。 |
| VISCO: |
内緒だから(笑)。 |
| ―今、バンドとしての流れとしてはどういう感じなんでしょう。例えば、やっとスタートライン、みたいな感じとか、楽しくやれればいいかなって感じとか。 |
| VISCO: |
あ、その楽しくやれればっていうのは、常にいちばん大きいかな。 |
| HIROKI: |
それが敢えて言うならその"らしさ"かな。そういう言い方って語弊があるかもしれないけど。例えば楽しさだけなら誰にも負けない、じゃあどうすればいいかなって考えたり。気持ちの上でのバンドらしさっていうのを、否が応にも大事にしちゃうかな。 |
| ―その"楽しい"は、初めてバンドやったときの"楽しい"に近いですか? |
| VISCO: |
ああ、近いね。バンド始めたときや、初めてロックに触れて血が騒いでしょうがなかったときの感じに近い。 |
| ―そういう気持ちって、長く続けていくと摩滅していくこともあるかと思うんですが、それをいったんリセットして新たに始めようって感覚はあったんでしょうか。 |
| VISCO: |
ある。あった。今思えば。 |
| hirono: |
みんな空白期間があって、それでセッションやってバンド始めたときに、その感覚って忘れてないって思った。 |
| ―その空白は結果的によかったんですね。 |
| VISCO: |
うん。新しいことを始めるのって、結構パワーが要るんですよね。でも、それが苦じゃなかった。リハも楽しくてしょうがなかったし。4人になってアルバムを作ろうってスタジオ入ったときに見えてきたものもあったし。 |
| HIROKI: |
最初はね、アルバム作ったら解散しようとか、ワンマンやったら解散しようとか、頭の悪いこと考えてたんだけど(笑)、今は、ゆっくりでもいいから長いタームでやっていきたいなと思えてきて。 |
| ―その割には凄いペースでライヴやってますよね。 |
| VISCO: |
今はね。 |
| HIROKI: |
続けていれば磨り減っていくものもあるのかもしれないけど、そうなれば休んで、また始めればいいって考えてるんだよ。 |
| ―「遊ぼうぜ」って感じですか。 |
| hirono: |
そうそう、それが原点。音で遊ぼうって。 |
| ―アルバム出したのって去年の夏ですよね。そのときと今と、どっちが楽しいですか? |
| VISCO: |
今。今のほうが全然楽しい。 |
| hirono: |
楽しみのレベルがアップしてる感じ。 |
| HIROKI: |
例えばバンドの初期段階って、楽しみ方もお客さんにすべて預けてる感じがあるけど、今はこちらからも提示できるようになってきているから、いい進み方じゃないかなと。 |