ミュージックウェブマガジンばんび
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橘高文彦  ( X.Y.Z.→A /ex.筋肉少女帯 )
Interview 2/2   From now go on
 ソロ活動―Euphoria

―ソロ活動は活動停止中だからやったと仰有っていましたが。

そうそう。筋少はずっと走り続けてきたから、マンネリを打破しようというのと、少し疲れたから休止しましょうっていう、平和的な活動休止だったんだよね。だからソロ活動をする者はする、遊ぶやつは遊ぶっていう。で、俺はEuphoriaっていうユニットをやって。

―Euphoriaで橘高さんがやりたかったことって何なんでしょう。

やっぱり筋少っていうのは大槻ケンヂ&筋肉少女帯っていう見られ方をすることがあって、楽器の人間がもっと表に出なきゃいけないなっていう考えはあったの。そういう意味での活動でもあったし、俺の中ではエヴァーグリーンなミュージシャンを目指してたから、「筋少でもEuphoriaでも変わらないな」って言ってほしかったの。ヴォーカリストに合わせてメロを書いたりするんだけど、筋少でも他でも俺がやっていることはすべて俺なんだってことを知らしめたかった。

―ソロをやるときに、橘高さんが歌うという選択はなかったんですか?

んーとね、ポール・スタンレーになれないということになっちゃって以降は、司令塔という立場が格好いいなって思ってたわけですよ。例えばリッチー・ブラックモアなんてヴォーカリストを取っ替え引っ替えするじゃないですか。そのときの音楽性に合わせて。ヴォーカリストを自分の分身のように扱う生き方

いいなって。でね、声を知られないのって、ミステリアスでしょ? だからインタビューでも喋らない人になりたかったの(笑)。

―でも、MC滅茶苦茶面白いじゃないですか(笑)。

喋ると喋り好きなのが出ちゃうんだよ。そういうのを封印したかったんだよ(笑)。歌うと歌のほうで見られちゃうでしょ。ギタリストとして見てほしかったから。どっちも片手間に見られるのがいやなんだよね。俺、不器用なところがあって、だから大学行かなかったのもそのせいもあるんだよ。今でも複数のバンドをやらない理由は、幾つかやってると信用できないのね、自分のことも人のことも。

―筋肉少女帯というバンドで出来なかったことをやりたくてソロ活動をなさったのかと思っていたのですが。

ううん。やりたいことは全部出来てたもん。筋少は幅が広いから。それこそストイックなへヴィメタルみたいなことも出来たし、ジャズっぽいことも出来たし、バラードも出来たし。当時もよく聞かれたんだけど「出来なかったことを出来ましたか?」って。「いや、やってるよ」って。その中でも、不変な俺の部分を出したというか、俺の幅なんてこんなもんですよって出してた。それは筋少と一致してたし。ヴォーカリストが違うから印象が違うだけで。

―ヴォーカリストのキャラクターというのもありますよね。

ヴォーカリストを活かすための曲を書いたりもするわけだから。その辺も見せたかったというのは当然あるけどね。プロデューサー的なものを見せたいというか。筋少だとそういうことやってもあまり見えないじゃない。そういう意味では、新人のヴォーカリストでプロデュースすれば、「ああ、筋少も同じようにやってるんだな」っていうのは見えやすいかなと思った。

―橘高さんのギターというのは、ストイシズムはあるけど、その割には暗くないですよね。

ああ、そうだね。だからKISSなんだよね。あと、生真面目に作りすぎるのはいけないって、AROUGE以降に学んだんだ。調整の取れた綺麗なソロを入れたら、そのあとには必ず破綻したような部分を入れるようにしてる。自宅でソロを考えないようにして、スタジオでその場で感じたものを弾くようにしてる。そうしないと、イントロからエンディングまでみっちり作っちゃうから。ドラムのフィルまで作り込んじゃう。家で作り込んだものならテクニカルなギターも弾けるし、じゃあそうしろよって言われるけど(笑)、俺はそういうことをやりたいわけじゃないから。


―そういうふうにラフになれるまでって、時間がかかりますよね。

うん、かかった。勇気要るもん。それこそ幼稚園のときにブランコから飛び出すくらいの覚悟が要る。

―そういう覚悟が出来たのは、何がきっかけなんでしょう。

やっぱAROUGEの失敗のあとだよね。○○みたいにしようとすると個性が出にくいから、オンリーワンであり続けようとミュージシャンは誰でも思うんだけど、それは顔の違いみたいなもんで、整形しちゃうんだよ、特に日本人は。よく思われたい巧く思われたいって。でもそれやってると差別化できないし。だから衝動の赴くままにプレイするスペースっていうのは必ず設けるようにしてる。ただ几帳面な部分もあるから、構築したギターソロも入れるし、そういった二面性みたいなものが自分だなと。

 X.Y.Z.→A、そして橘高文彦という音楽

―X.Y.Z.→Aを結成したきっかけって何なんでしょうか。


98年に筋少が活動停止して、その頃爆風スランプ、SLYも活動休止して、それがクロスしたの。二井原(実)さんがソロアルバムを出したいって(ファンキー)末吉さんに相談していて、で、俺の筋少活動停止後のマネジメントが二井原さんと同じだったの。それでギタリスト探してるから手伝わないかって話になって。だから最初は二井原実ソロ・ワークスのお手伝いみたいな感じだった。でもスタジオに入ったら凄いシンパシーがあったし、「これはやっぱりバンドじゃないか?」って本人も言うし。俺はそれを二井原さんに決めてほしかったのね。もしバンドとしてやるのであれば、俺も徹底的にバンドのメンバーとしてエゴも出すし、俺の方法論でプロデュースもするからって。そうしたら「バンドにしよう」って。だからX.Y.Z.→Aはバンドとしてやっているし、これも俺のままなんだよね。そうしないとバンドじゃないと思ってるから。

―X.Y.Z.→Aというのは、今までの中で音楽的にはいちばんストイックな感じがしますが。

そうだね。ハードロックの俺の部分だよね。ワールド・ワイドなことをやっているから、自分の中で。筋少は日本人であることを凄く意識していたから、俺は自分を外タレへヴィメタルみたいに位置づけてたのね。X.Y.Z.→Aを始めたときに俺は黒髪に戻してるんだけど、それはこのバンドが、今でも海外でリリースしてるけど、金髪だと恥ずかしいから(笑)。筋少のときは筋少の中でのへヴィメタルなイメージだったけど、X.Y.Z.→Aのときは黒髪でストレートにして、西洋の人が羨む髪に戻したかったの(笑)。まあ、向こうのお姉ちゃんにモテたかったし(笑)。今はまあ、金髪のほうがいいっていう声もあるし、好きだから。

―橘高さんはバンドを組むと長いスパンで活動していらっしゃいますよね。

うん、だってバンドを組むとき、死ぬまでひとつのバンドでやりたかったから。AROUGEのまま売れてストーンズのようになって、フレディ・マーキュリーのようにバンドが継続しているまま死ぬのが夢でしたから。僕は徹底して何かひとつの職人になりたかったから。ただ、こっちがそう思っていても、そうはいかないこともあるし。「継続は売り上げなり」っていうのがね、俺が最初に教訓として教えてもらったもんなんで(笑)。
だから続けられる限りは続けたいですね、バンドは。だって、最初に惚れた相手は嫌いにならないですもん。そこに感じ入って集まってやっているわけで、途中で万が一仲違いがあったとしても、尊敬心は一生変わらないわけだから。だから俺は未だに筋少は出来ると思ってるし。

―じゃあ、企画的なものであっても筋肉少女帯をやりましょうという話があったら。

やるかもね。脱退して活動休止になって、半年後にやりましょうって話になったら、それは勘弁してよって思っただろうけど、もう筋少も8年経っているし。活動休止するときにメンバーとも話したんだけど、それぞれ別の人生を歩んでそれぞれが独り立ちして、歳食ってまた一緒にやれたら素敵だねとは言ってたの。

―お話伺っていて思うんですけど、橘高さんは常に大人の視点ですね。

ああ、それは自分自身がが落胆したくないから、そう思うようにしてるのかもしれないね、子どもの頃から。先に予防線を張っておく癖があるね。

―バンドという単位の中でも、いちばん大人の視点を持とうという姿勢が感じられるというか。

そういう役割が多かったからね。パブリック・イメージはメタル野郎なんだけど、実際はそういうところがあったかもしれない。

―筋肉少女帯の橘高さんのイメージというのは、様式を追求したいのに心ならずもコミカルなバンドにっていう……

そう思ってほしかった(笑)。それが生活感のなさであり、自分の心を読まれ切れないようにしようという姿勢の表れであり。「ばかだからわかんなーい」っていうふうに取られたかったし。うだうだ戦略を立ててるなんて、今だから言うけど、20代の頃は厭だもん、そういうキャラだと思われるのが(笑)。衝動的な人間だと思われたかったし、そういうふうに見られることに憧れてたし。そういうパブリック・イメージを作り上げることに、凄くエネルギーを使ってたかもしれない。

―もしかするとこの人は、可哀相な塔の中のお姫様のような存在ではないかと思っていました(笑)。

うん、そういうこともよく言われた(笑)。あとは「抜けるに抜けられなくなったんじゃないか」とか筋少の中期以降は言われたり。「橘高もやりたいことをやればいいのに」ってよくライターさんにも言われてた。「いや、俺やりたいことやってるんだけどなー」って。


―それはもしや橘高さんの戦略通りでは(笑)。

そうね(笑)。だから勝っちゃったんだよね(笑)。でも、そのほうがいいじゃない、ロックバンドなんだから、おばかなほうが。

―ロックだからこそ、自分を徹底してプロデュースしてもいいと思うんですよね。

うん。子どものときに鏡見ながらご飯食べてたのと一緒で、常に自分のことを俯瞰で見ちゃって、歩かせようとしてるんだよね、自分の思い通りに。で、その俯瞰の部分が成長していなかったりするから。自分がファンだったらこういう人であってほしいっていうルールがいっぱいあるみたいで。それがお客さんとシンクロするからよかったんだと思う。ただ、そのストレスは来るから、筋少のときも精神的に駄目な時期も多かったけどね。自律神経が駄目になっちゃって。


―理想が高いんだと思うんですよね。

自分で言うのも何だけど、完璧主義なんですよ。レコーディングでもそうなんだけど。だからソロを入れるということに対しても、計画しちゃうんですよ。本当は衝動に任せたいんだけど、設計図描かないと駄目で。

―橘高さんはインタビューの最初にもエヴァーグリーンなものを作りたいと仰有っていて、自分の中にはきっちりとした理想があると思うんですけど、二十数年やってきて、近づいている感じがしますか? それとも、もうその中に入ってしまっている感じがしますか?

んー、自分が体感している年齢が24歳の頃から変わってないのね。気づいたら40になってて、今ちょっとピーター・パン的な驚きがあるんですけど、そういう意味では24歳のときに努力していたことが、今自然に出来るようになってるかもしれない。自分の音楽がこれからもっと拡がっていくのか狭まっていくのか判らないけど、橘高文彦というエヴァーグリーンに近づいていければなと。
俺はギターによって救われたっていうのが、もう本当にあるんですよ。世の中との関わりをギターによって保ってる。だから、引きこもっていた頃の俺のような人が、俺の音楽で多少なりとも救われるようなことがあれば、それが俺の恩返しだと思ってる。



後日、大槻ケンヂとユニット結成のニュースが届いた。同じステージに立つふたりを8年ぶりに観ることが出来る。
彼らがお互いにどんな時間を過ごしてきたのか、期待していたより早く目にすることが出来るのは喜ばしいことである。

 


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橘高文彦
12月27日生まれ。大阪府出身。
1984年AROUGEにてメジャーデビュー。その後89年筋肉少女帯に加入。現在はX.Y.Z.→Aにて活動中。

X.Y.Z→A
Vo: 二井原実
Gr: 橘高文彦
Ba: 和佐田達彦
Ds: .ファンキー末吉


Live Information
大槻ケンヂと橘高文彦
「踊る赤ちゃん人間」発売記念 ザ・仲直り! 〜そしてその後の展開は?〜?ゲストあり

7月22日(土)
LIQUIDROOM ebisu
http://www.wildland.co.jp/
kitsutaka/detail.html



CD Information
NEVER ENDING STORY
2005.1.16 Release
ASIN: B00074C5CK
3000yen(tax in)
1. EUPHORIA
2. NEVER ENDING STORY
3. 指
4. AMBITION
5. 影法師
6. FIND MY LIFE
7. 傀儡のワルツ
8. DESTINYをぶん殴れ
9. DREAM CASTEL
10. GONE CRAZY
11. FALCON
12. THANK YOU

X.Y.Z.→Alive
2004.2.4 release
ASIN: B00013F6Y6
3800yen(tax in)
DISC1
1.MIRACLE
2.STAND UP FOR YOUR BELIEF
3.LABYRINTH
4.SO BAD!BIG TIME!
5.FASTER!HARDER!LOUDER!DEEPER!
6.PURE
7.真実はどこにある
8.TOMORROW
9.SEARCHING FOR REALITY
10.PROMISED LAND
11.MIDNIGHT TRAIN
DISC2
1.I PROMISE YOU
2.SHINE YOUR LOVING LIGHT ON ME
3.NEVER SAY DIE
4.READY FOR THUNDER
5.HEY!D.J.
6.GO ON!
7.ASIAN TYPHOON
8.生きるとは何だ
9.WHY DON’T YA ROCK AND ROLL
10.DON’T LET THE SUN GO DOWN
interview : t_i n

 
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