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水戸華之介  (水戸華之介&3-10chain)


Interview 1/2   Crossroad of 27  (27歳の岐路)
 
  アバウトを装ってしまえるほどに緻密な人である。同時に、シャイであることにすら照れてしまうほどにシャイな人でもある。インタビュー中、ずっとそんなふうに思っていた。
インタビュー前半は、青春グラフィティを地で行くユニークな仲間たちと、アンジーの故郷山口と博多について。

 
 「故郷に対する気恥ずかしさっていうのはあるよね」

―博多に5年くらいいらっしゃいましたよね。

もうちょっといたんじゃないかな。5年ってことはないような気がする。高校卒業してすぐ出たから。
ちょうどめんたいロックがブームのころで。他にも例えば大阪に行く事も考えないではなかったんだけど、高校のときに読んだ雑誌に「博多は日本のリヴァプール」って書いてあって(笑)。リヴァプールったって、同じ港町ってだけで大して共通項もないんだけどね。そもそもリヴァプールってのがなんなのかも知らなかったんだけど(笑)。まあ、いきなり東京に出るっていう発想はなかったから、地理的には大阪か広島か博多かって選択の中で。

山口県について言えば、自分が18才になるまで生きてた場所って、嫌いだった部分も含めて複雑な思いがあったんだけど、離れて20年経った今は素直にいいところだなって思えるよ。これだけ針振り切った田舎っていうのがね。帰ったときに感動が違うというか、ああ俺には故郷があってよかったって。同時に、出てよかったとも思うんだけど(笑)。遠きにありて思うものだから。
そう思えるようになったのは、ここ数年のことでね。だから、アンジー時代って3〜4回くらいしかツアー行ってないもん、山口県って。
そこで、スターみたいなふりしてライヴをやることに凄い照れもあったし、出来れば避けたいと思ってた。なんか、母親の前で恋人の話をするようなきつさがある(笑)。恥ずかしいというより、きついって(笑)。
それが変わったのは、恐らくここに戻って住むことはないっていうのが判っちゃったからかな。35歳くらいまでは、可能性としてあり得るって思ってたから。最後はここに住んじゃう可能性はあるなって。

それでね、こうなって、実際にライヴをやってみると、他とは違うんだよね。博多でやるのともまた違う。ファンの人への思い入れというか、歴史の長さみたいなものでいえば、やっぱり博多なんだけど。アンジーって99%が博多で出来上がったバンドだからね。でも、正直博多という場所に対する思い入れっていうのはない。人に対する思い入れはあるけど。博多の人、っていうものに対する思い入れがね。
だって、博多の人って、かるーく頭おかしいじゃん(笑)。自分がそこに住んでたときは気づかなかったけど。それも離れてみて気づいたんだけど。躁病って病名がつくくらいに、みんなかるーくおかしい(笑)。そういうところが愛すべき部分として、博多の人に対する思い入れっていうのがある。
山口はね、逆に人に対する思い入れは余りない。場所に対する思い入れっていうのが強いかな。やっぱ情操みたいな部分で大きいというか、物作るときのルーツになってる。特に音楽の場合は、音に対する感覚っていうのが3歳くらいまでに決まるんだって。何を雑音と捉えるかっていうのは、無意識の部分で決まるって。
街中で育った人っていうのは、車の音とか雑音に感じないんだよ。逆に鳥の声、蛙の声とかが雑音に感じるって。
―日常音が違うってことですね。

そうそう。3歳までに聞いた日常音で、音に対する感覚が根本的なところで変わるって。その、音に対する振り幅っていうのは、音楽やってる以上は必ず出てくると思うよね。もちろん、そう単純なことではないと思うんだけど、同じギターを歪ませるんでも、都会育ちと田舎育ちって、感覚が微妙に違うと思うなあ、いいと思う音が。

―水戸さんの生まれたところって、どんなところだったんでしょう。

うーん、田舎っていってもね、まあ住宅地ではあったんですけど。緑は多いよね。すぐ裏が川で、海に行くにも山に行くにも自転車で行けるような。ちょっと外れちゃうと、もうもっと田舎になっちゃって、自然以外は何もないってところになっちゃうんだけど(笑)、まあ、ぎりぎり住宅地だったから。山陰線と美祢線っていう電車の分岐駅だったからね。
 

 「歌うことがもてることになるって知っちゃったんだよ」

―高校からバンドを始めたんですか?

いや、遊びでは中学から。アンジーって名前でやりはじめたのは高校3年だけど。

―そもそも、バンドを始めようと思ったきっかけってなんでしょう。

なんだろうねえ……中学に入って最初の文化祭でね、剣道部の先輩がふたりでNSPを歌ってたの。それが凄く上手だったの。ちょっと感動してね。というより、歌をうたうってことがモテモテに繋がるっていうことを初めて知ったの(笑)。小学校までは、モテモテ=スポーツができるか面白いかどっちかだったの。歌をうたってもてるっていう発想が昔の小学生にはなかったの。むしろそんなことは恥ずかしいことだと思ってた。
またそのふたりがね、普段は硬派で怖い感じの先輩だったの。だからよかったんだと思う。これはアリだって。
だから最初はフォークギターを買ったの、その流れで。


―弾き語りをしようと思ったんですか?

弾き語りをするというより、NSPをやろうと思ったのよ(笑)。ピンポイントで。あれはモテるからって(笑)。
で、結局Fのコードとかで苦戦しているうちに、お兄さんの影響でロックが好きだっていう友達がいて。まだそのころってディープ・パープルとかレインボーとか、ハードロックの時代だよね。で、家に遊びに行ってみたら、グレコのストラトがあって。「これ、リッチー・ブラックモアと同じ」って。同じじゃないんだけどさ(笑)。そういうところから急にシフトしたんだよね。

―でも、それまではロックっていうのは自分がやるっていう選択肢の中になかったんですよね?

全くないね。だって、ブラスバンド部に入る奴はおかまだと思ってたんだから(笑)。軟派通り越して。実際ブラバンの先輩なっちゃったからね、金魚ちゃんっていう名前で(笑)。

―じゃあ、最初はハードロックのコピーからですか。

うん、ディープ・パープルからね。「Black Night」から。ちょっと渋めで(笑)。そのときって声変わり前だったから、イアン・ギランのように歌えると思ってた (笑)。歌えやしないんだけどね。そのバンドは1曲で終わったの、いろんな意味で(笑)。スタジオもないから、ピアノ教室借りて一回だけ練習した、その一回きり(笑)。だから、本当にきっかけで。
それで、もうちょっと別のことやりたいなと思ってたときに、藤井がちゃ彦と知り合ったんだ。クラス違ったんだけど、ふたりとも保健体育委員で掃除区域が一緒で(笑)。保健体育委員は部室周りの担当で、それで仲良くなったの。

―そのときの共通の話題というのは、やはりパープルなんでしょうか。

いやいや、そのときはね、もうNSPも通り過ぎ、ディープ・パープルも通り過ぎ、KISSだったんだよ! で、レコードの貸し借りをお互いにするうちに、「バンドしよう」みたいな感じになって。で、藤井が「俺はドラムがしたい。ドラム以外はできない」って(笑)。断言してたから、最初から。やったことないのに(笑)。
―でも、それはかなり珍しいですよね。

うん、藤井は、やっぱどっかおかしいからね。ずーっとおかしい、やっぱり(笑)。たまたまそういう人がいたからね、ドラムっていうパートを探すのに苦労せずに始めて。
で、楽器買おうと思って新聞の配達始めて。俺が朝刊で、藤井が夕刊。どっちもやる気ないんだけどね(笑)。朝刊を7時半くらいに配ってたから。そのあとダッシュで学校行って。頼まれたもん、配ってた先の人に。怒られるんじゃなくて。「頼むからもうちょっと早くしてくれないと、俺は仕事に行かなきゃいけないんだ」って(笑)。で、そういう人には、新聞屋の大将が直接配ってたもん、俺を通り越して。日曜とか9時ごろ配ってたからね(笑)。
でも、当時もう新聞配る人っていなかったからね。それでもクビにならなかった。
藤井はもっと凄いよ。夕刊ってだいたい4時頃配るじゃない。でもね、放課後にソフトボールとかしてるのよ。「ちょっとだけ」って言って帰らないの。で、7時ごろ配ってたからね。いちばん遅いときは11時半くらいに配ったらしい。凄いやろ。恐怖新聞だよ、もう(笑)。それでもお互いクビにもならずに、お金貯めて、俺はベース買って、藤井はドラム買って。
で、植中伸二ってのがギターで歌でって感じで。こいつが「やりたいやりたい」って、そういうエネルギーの物凄い奴で、後にアンジーを作るきっかけになったの。
まあ、そのときはずっとコピーで。オリジナルって作らなかった。やっぱ、それも照れじゃないかなあ、今思うと。
 

 

水戸 華之介
6月7日生まれ。山口県出身。
高校時代に結成したアンジーで88年メジャーデビュー。その後GOO、水戸華之介&エレカマニアを経て、ソロと並行して00年より水戸華之介&3-10chainにて活動中。

 
水戸華之介
&3-10chain
Vo 水戸 華之介
G. 澄田 健
B. 内田 雄一郎
Ds. 佐藤 稔

CD Information
「星暮らし、歌暮らし」
2004/02/24 発売
火星レコード
 \3,000 (tax in)
01. 雨のパレード
02. 北極星
03. 小さな罪の小さな罰
04. MC〜壊れゆく者
05. キムとキリムのダイジョーブ!
06. 月の浜辺で
07. そういうメルヘン
08. MC〜寛大なる者
09. ハラホロ&ヒレハレ
10.火星のショッピング・モール
11.いつか大勢が
12.MC〜喜びをもたらす者
13.私の好きな

DVD Information
「不死鳥!!!!!!!」
火星レコード
 \4,200 (tax in)
04年2月24日渋谷O-Westで行われた休養明け復活ライブDVD。アンジー時代の曲から最新曲まで全21曲+特典映像で綴るBest of 水戸華之介。

Live Infomation
11月3日(水・祝)
   下北沢 440
11月14日(日)
  下北沢 CLUB251
   
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