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―それは大人になってから同じ場所にいらしたってことですか。
そうです。全然アメリカに行く機会とかもなかったんで、それもよくないだろうと思って27くらいの時に初めて行ったんですよ。
―スティーヴさんの場合音楽をやっていらっしゃるじゃないですか。音楽をやってらっしゃる方の記憶の拠り所がにおいっていうのが面白いなと思ったんです。
そうですね。他にもあったかもしれないんですけど、それが決定的な証拠になったという。
初めてニューヨークに1人で行って、ある種自分探しの旅みたいな。要するにずっとこっちにいますし、ずっと東京ですし、けれど実家っていうのもなかったんですよ。しょっちゅう引っ越ししてましたので故郷は何処でしょうっていう感覚がありましたから。だからどうっていうんじゃないんですが、とにかく行ってみようと。色々見て回って、この辺に住んでたはずだってところもウロウロウロウロしてみたんですけど、結局はそういう決定的な証拠は掴めず。その鯨だけが頼りだったんです。そのにおいだけが。それで、帰る前の日にセントラルパークの角っこを歩いていたら急にその鯨がいて。
夕方だったもんだからもう閉門してて。次の日出発だったんですけども、その朝にギリギリ飛び込んでって口の中にポンて入っていったら同じにおいがしたということなんです。
―相当特殊なにおいなんですか。
口の中がコンクリートで、ゴム張りしてあって。要するに物凄いゴムのにおいですよ。
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